監修:株式会社リエア 代表取締役 浦野芳徳(リラクゼーションセラピスト歴19年) カテゴリ:健康経営・福利厚生コラム
この記事でわかること
・新卒・中途求職者が企業選びで福利厚生をどれほど重視しているかを示す最新データ
・新卒と中途採用で「響く福利厚生」が異なる理由と、それぞれの重視項目
・採用力を高める福利厚生の設計で押さえるべき3つのポイント
・「制度があること」だけでなく「伝え方」まで含めた採用広報の実践ガイド
・中小企業でも導入しやすい差別化施策の具体例
「求人を出しても応募が集まらない」「内定辞退が増えている」——採用難度が上がり続ける中で、こうした壁にぶつかる人事・総務担当者は増えています。少子高齢化に加え、転職市場の活性化によって求職者の選択肢が広がった今、企業側から積極的に「選ばれる理由」を作っていく必要があります。
マイナビが実施した2025年卒調査(2024年4月)では、大手企業の選考に参加する決め手として「福利厚生が手厚い」が51.5%と最多を占めました。給与(42.6%)をも上回る結果です。また転職経験者への調査では、7割強が転職の際に福利厚生を重視すると回答しています(マンパワーグループ調査)。
本記事では、新卒・中途それぞれのデータをもとに求職者が本当に求める福利厚生を整理したうえで、採用競争力を高める制度の設計と発信の方法を実践的に解説します。
1. 求職者は福利厚生をどれほど重視しているか——最新データで確認
1. 求職者は福利厚生をどれほど重視しているか——最新データで確認
採用施策を考えるうえでまず把握したいのは、「求職者が実際に福利厚生をどのくらい重視しているか」という現実です。複数の調査から浮かび上がるデータを整理します。
| 調査名・出典 | 主な結果 | ポイント |
| マイナビ 2025年卒調査(2024年4月) | 大手企業選考参加の決め手:「福利厚生が手厚い」51.5%が最多(給与42.6%より上) | 新卒の選考参加・応募意欲に直接影響 |
| マイナビ 2024年卒調査(4月) | 福利厚生を「給与・仕事内容と同程度に関心がある」学生が63.4% | 業務内容だけでは差別化できない時代 |
| 大和ライフネクスト 2025年卒調査 | 企業選びで重視することの1位が「福利厚生が整っている」44.3%(給与39.8%より上) | 選考エントリーの段階から影響 |
| キャリタス 2025年卒調査 | 内定承諾を判断する際に「待遇・福利厚生・WLB」が突出(68.9%) | 最終決断の最重要ポイント |
| マンパワーグループ調査(転職経験者) | 転職の際に「福利厚生を重視する」計72.1% | 中途求職者にも無視できない影響力 |
| 帝国データバンク 2025年9月調査 | 福利厚生を充実させる予定の企業が47.6%と5割近く | 採用対策として企業側も動き始めている |
これらのデータが示すのは、福利厚生はもはや「付帯的な条件」ではなく、応募するかどうか・内定を承諾するかどうかを左右する主要な判断軸になっているということです。
2. 新卒と中途採用では「響く福利厚生」が違う
2. 新卒と中途採用では「響く福利厚生」が違う
一口に「求職者」といっても、新卒と中途採用では重視する福利厚生の種類が異なります。採用ターゲット別に整理することが、制度設計の出発点になります。
| 福利厚生の種類 | 新卒(22〜24卒調査より) | 中途転職者(20〜40代転職経験者より) |
| 住宅手当・家賃補助 | ◎ 特に20代で希望が高い(80%) | ◎ 全年代でトップ(49.7%が重視) |
| 休暇制度(有給・特別休暇) | ◎ 最多希望(77.5%) | ○ バースデー休暇等も評価される |
| 諸手当(通勤・食事等) | ◎ 2位(74.1%) | ○ 実質賃金の補完として機能 |
| 健康診断・人間ドック補助 | △ 意識は低め | ◎ 30〜40代で希望が高い(32.3%) |
| 資格取得・スキルアップ支援 | ○ 成長環境の訴求として有効 | ○ 女性転職者に特に響く(45%) |
| フレックス・テレワーク制度 | ◎ ワークライフバランス重視で需要大 | ◎ 転職検討時に「考慮に入れる」6割 |
| 退職金制度 | △ 入社時の関心は低め | ◎ 応募意欲が上がる制度1位(42.8%) |
| 健康・リラクゼーション施策 | ○ 職場環境の良さとして差別化 | ○ 「職場を大切にする文化」として評価 |
新卒は「長く安定して働けるか」という視点から住宅支援・休暇・ワークライフバランスを重視し、中途は「前職から改善したい条件」として住宅手当・健康支援・退職金・柔軟な働き方を求める傾向があります。採用ターゲットを明確にしたうえで、どの層に訴求するかを先に決めることが制度設計の鍵です。
3. 採用力を高める福利厚生設計の3つのポイント
3. 採用力を高める福利厚生設計の3つのポイント
ポイント① 「全員が使える」制度を中心に据える
採用力向上に最も直結するのは、特定の条件を持つ社員だけが使える制度ではなく、入社後のすべての従業員が恩恵を受けられる制度です。
たとえば住宅手当は「持ち家の社員には不要」という問題があります。これに対し、食事補助・健康診断補助・フレックス制度・オフィスリラクゼーションのような施策は、年齢・役職・ライフステージを問わず全員が利用できる点で採用訴求力が高くなります。
求職者は「自分がこの福利厚生を使えるか」を具体的に想像しながら企業を比較しています。制度の対象範囲を明確にし、求人票や採用ページに記載することが重要です。
ポイント② 「他社と違う」施策を1〜2個加える
住宅手当・有給休暇・健康診断補助は多くの企業が導入しており、それだけでは差別化になりません。採用競争力を上げるには、他社では珍しい「ユニークな福利厚生」を1〜2個加えることが効果的です。
| 差別化施策の例 | 特徴・採用上のメリット |
| オフィスリラクゼーション(定期出張型) | 「職場でプロのマッサージが受けられる」は求人票・採用ページで目を引く。健康経営の取り組みとして一石二鳥 |
| バースデー休暇・記念日休暇 | コスト低く導入でき、求職者の記憶に残りやすい。SNSで話題になることも |
| 社内ヨガ・ストレッチプログラム | 近年導入企業が増加中。ウェルビーイング経営として採用広報との相乗効果が高い |
| 副業・兼業容認制度 | 特に20〜30代の自律的なキャリア志向層に強く響く |
| 書籍購入補助・学習補助 | 資格取得支援より幅広く、少額から導入可能。「成長できる職場」の訴求に有効 |
重要なのは「珍しければいい」のではなく、自社の社風・事業内容・ターゲット人材の価値観と合った施策を選ぶことです。IT系企業なら副業解禁、人を大切にする社風を訴求したい企業なら健康・リラクゼーション施策、といった具合です。
ポイント③ 「制度の中身」より「実際に使われているか」を示す
求職者が採用サイトを見るとき、「制度はあるが使いにくそう」という印象を持つと応募意欲が下がります。制度の存在を記載するだけでなく、「実際の利用状況」や「社員の声」を添えることが決定的に重要です。
例えば有給休暇の取得率、産休・育休からの復帰率、月1回のオフィスリラクゼーションの実施写真——こうした「使われている証拠」が、求職者の不安を解消し応募につながります。
4. 採用広報での福利厚生の伝え方——効果が出る発信ポイント
4. 採用広報での福利厚生の伝え方——効果が出る発信ポイント
どれだけ良い制度を設計しても、求職者に伝わらなければ採用力向上にはつながりません。求職者が福利厚生情報を収集する媒体別に、効果的な発信のポイントを整理します。
| 発信媒体 | 効果的な情報の届け方 |
| 採用サイト(自社HP) | 内定承諾率に最も影響。福利厚生ページを独立させ、制度一覧+利用率・社員の声を掲載。写真(実際のリラクゼーション風景など)を使い「使われている感」を演出 |
| 求人票(求人媒体) | 「充実した福利厚生」だけでは埋もれる。「月1回のオフィスマッサージ実施」「バースデー休暇あり」など具体的な名称で記載する |
| ハローワーク求人票 | 2022年6月から健康経営優良法人のロゴマーク掲載が可能に。認定を取得している場合は記載必須 |
| SNS(Instagram・X等) | 福利厚生の「日常」を発信する場として有効。リラクゼーション実施日の写真・社員インタビューなどが拡散されやすい |
| 採用動画・説明会資料 | 「百聞は一見にしかず」。福利厚生を体験している職場の雰囲気を動画で伝えることで、エントリー前の不安を解消 |
新卒採用サイトの調査(キャリタス 2025年卒版)では、内定承諾の判断に際して「待遇・福利厚生・ワークライフバランス」が68.9%と突出して高い関心を集めています。採用ページに福利厚生の情報を充実させることは、内定辞退を減らすうえでも直接効果があります。
5. 中小企業でもできる——低コストで差別化できる福利厚生5選
5. 中小企業でもできる——低コストで差別化できる福利厚生5選
「大企業ほど予算がないから、福利厚生では勝てない」と思っている経営者・人事担当者の方にこそ知っていただきたいのが、低コストでも求職者に強く響く施策の存在です。
| 施策 | 月額コスト目安 | 採用での訴求ポイント |
| オフィスリラクゼーション(月1〜2回) | 数万円〜(人数・頻度による) | 「職場でプロの施術が受けられる」は記憶に残る差別化。健康経営のアピールにも |
| バースデー休暇・特別休暇制度 | ほぼ0円(有給扱い可) | コストゼロで導入でき、求人票に具体的に書ける。社員の満足度も上がりやすい |
| 書籍・学習補助(月◯円まで) | 数千円〜/人 | 「成長できる環境」を具体的に示せる。特に向上心のある若手層に響く |
| フレックスタイム・在宅ルールの明文化 | ほぼ0円(制度設計コストのみ) | 既に柔軟に対応している職場でも「制度として明文化」するだけで採用訴求力が格段に上がる |
| 健康診断の法定外オプション追加 | 数千円〜/人 | 「会社が健康を気にかけてくれる」というメッセージを安価に伝えられる |
大企業との「住宅手当の金額」では戦えなくても、「職場でのリラクゼーション体験」や「ゼロコストの特別休暇制度」のような定性的な魅力は、規模を問わず打ち出すことができます。中小企業こそ、ユニークな制度で「働いてみたい職場」のイメージを作ることが重要です。
6. オフィスリラクゼーションが採用力向上に貢献できる理由
6. オフィスリラクゼーションが採用力向上に貢献できる理由
採用競争力を高める福利厚生として、オフィスリラクゼーション(出張型)は「コストパフォーマンス」と「訴求力」の両面で注目されています。
求人票・採用ページで目を引く「具体的な体験型福利厚生」
「福利厚生充実」という文言は無数の企業が使っています。一方で「月2回、プロのセラピストが職場に訪問」という記述は、求職者の記憶に残ります。体験を想像できる具体的な制度は、抽象的な訴求より応募意欲を高めます。
「社員を大切にする職場」というブランドイメージを作る
福利厚生の中でも、心身のケアに投資している企業は「人を大切にする会社」というイメージを持たれやすいです。特に健康経営優良法人の認定と組み合わせることで、求人票へのロゴ掲載や認定マークの活用など、採用広報での活用範囲がさらに広がります。
入社後の定着率向上で採用コストの費用対効果を高める
採用力向上は「応募を増やすこと」だけが目的ではありません。入社後の定着率が高ければ、採用コストをかけ直す頻度が減ります。オフィスリラクゼーションのような継続的な健康・メンタルケア施策は、採用と定着の両方に貢献します。
Reairの定期訪問型リラクゼーションでは、ボディケア・チェアー型・フットケア・ドライヘッドスパ・ヨガ・ストレッチなどのメニューから、企業規模や訪問頻度に合わせてカスタマイズしてお選びいただけます。
▶ 施術内容・料金の詳細:https://www.reair-refresh.jp/service1
7. 今日から始める採用力向上のための福利厚生整備ステップ
7. 今日から始める採用力向上のための福利厚生整備ステップ
実践的な進め方
1. 自社の採用ターゲット(新卒/中途、年代、志向)を明確にする
2. 競合他社の求人票・採用ページで福利厚生の記載を比較・分析する
3. 現在の制度を棚卸しし「他社と違う点」を1〜2個特定または新規導入する
4. 「制度の存在」だけでなく利用率・社員の声・写真を採用ページに追加する
5. 求人票の福利厚生欄を「充実した福利厚生」から具体的な名称リストに書き換える
6. 半年ごとに応募数・内定承諾率を測定し、施策の効果を検証・改善する
ステップ5の「求人票の書き換え」は今日から無料でできます。「フレックスタイム制」「月1回のオフィスリラクゼーション実施」「書籍購入補助あり」など、具体的な名称で記載するだけで求職者の反応が変わります。
まとめ
採用力を高める福利厚生について、重要なポイントを整理します。
✅ 新卒は「福利厚生が整っている」を企業選びの第1位に挙げており(44.3%)、選考参加の決め手でも1位(51.5%)
✅ 中途求職者の7割強が転職時に福利厚生を重視しており、退職金制度が応募意欲向上に最も効果的
✅ 新卒と中途ではニーズが異なる。採用ターゲットを明確にしたうえで制度を設計することが重要
✅ 差別化には「全員が使える制度」と「他社にない1〜2個のユニークな施策」の組み合わせが有効
✅ 制度の存在だけでなく「使われている証拠(利用率・写真・社員の声)」を発信することが内定承諾率を上げる
✅ オフィスリラクゼーションは低コストで「体験型」の差別化ができ、健康経営の取り組みとしても活用できる
採用活動において、求職者に「この会社で働きたい」と思ってもらうための最初のハードルは、「条件面で不安を感じさせないこと」です。福利厚生の充実とその効果的な発信が、採用力を根本から底上げします。
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※本記事のデータはマイナビ「2025年卒大学生活動実態調査(4月)」「転職動向調査2025年版」、大和ライフネクスト「就職に関する調査(2024年7月)」、マンパワーグループ「転職先の福利厚生に関する調査」、帝国データバンク「福利厚生に関する企業の実態調査(2025年9月)」、
キャリタス「2025年卒採用ホームページに関する調査」を参照しています。