監修:株式会社リエア 代表取締役 浦野芳徳(リラクゼーションセラピスト歴19年) カテゴリ:健康経営・福利厚生コラム
この記事でわかること
・企業が福利厚生を導入する目的の第1位が「離職率の低下」であるというデータ
・厚生労働省の統計から見る、実際の離職理由の上位項目
・離職防止に効果が出やすい福利厚生施策のランキングと解説
・コスト別・目的別の施策選び方のポイント
・オフィスリラクゼーションが人材定着に貢献できる理由
「採用してもすぐ辞めてしまう」「ベテラン社員が抜けて現場が回らない」——そんな人材定着の課題を抱える人事・総務担当者は、年々増えています。少子高齢化と転職市場の活性化が重なり、優秀な人材ほど選択肢が多い時代において、離職率を下げることは企業の経営課題そのものになっています。
月刊総務が実施した「福利厚生についての調査」によると、企業が福利厚生を導入する目的として「離職率の低下」が70.1%と最多を占めます。福利厚生の充実は、離職防止のための最もポピュラーな手段として広く認識されています。
本記事では、離職につながる本当の理由を統計データで整理したうえで、効果が出やすい福利厚生施策をランキング形式でご紹介します。コストを抑えながら人材定着を実現したい企業の担当者の方に、特に参考にしていただける内容です。
1. 離職率の現状と「本当の離職理由」をデータで確認する
1. 離職率の現状と「本当の離職理由」をデータで確認する
厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概要」によると、2024年の全産業の離職率は14.2%(前年比1.2ポイント減)です。数字だけ見れば改善傾向に見えますが、業種や規模によってばらつきは大きく、宿泊・飲食サービス業や医療・福祉など人手不足が深刻な業種では依然として高い水準が続いています。
離職防止の施策を立案するには、まず「なぜ社員は辞めるのか」を正確に把握することが出発点です。厚生労働省の調査から、自己都合離職者の理由(複数回答)の主な上位項目を整理します。
| 離職理由(自己都合) | 主な内容 | 福利厚生で対応できるか |
| 労働条件(賃金以外)が悪かった | 休日・労働時間・職場環境など | ◎ 直接対応できる |
| 賃金が低かった | 給与水準・昇給への不満 | ○ 一部対応できる(手当・補助) |
| 職場の人間関係が悪かった | 上司・同僚との関係性 | △ 間接的に改善できる |
| 会社の将来への不安 | 経営方針・業績・雇用安定性 | △ 間接的に改善できる |
| 仕事内容が合わなかった | 職種・業務内容とのミスマッチ | △ キャリア支援で一部対応 |
このデータが示すのは、離職理由の上位に「賃金以外の労働条件」が来ているという事実です。休日・労働時間・職場環境・ハラスメント対策などは、まさに福利厚生・労働環境整備で直接改善できる領域です。
つまり、給与が上げられなくても、福利厚生の充実によって離職率を下げることは十分に可能です。
2. 効果が出やすい福利厚生施策ランキング TOP10
2. 効果が出やすい福利厚生施策ランキング TOP10
以下のランキングは、「従業員に実際に使われているか(利用率)」「導入後に離職率改善の効果が報告されているか」「コストパフォーマンス」の3つの観点から整理したものです。
| 順位 | 福利厚生施策 | 離職防止への効果 | 導入コスト目安 |
| 1位 | フレックスタイム・テレワーク制度 | 「労働時間・休日条件が悪かった」という離職理由に直接対応。場所や時間の柔軟性は現代の働き方ニーズと直結する | 低〜中 |
| 2位 | 有給休暇の取得促進・特別休暇制度 | 取得しやすい仕組みと制度設計でワークライフバランスが向上。バースデー休暇・リフレッシュ休暇なども効果的 | 低 |
| 3位 | メンタルヘルス・健康支援施策 | EAP(従業員支援プログラム)や定期的なリラクゼーションの導入でストレス起因の離職を予防 | 低〜中 |
| 4位 | 住宅手当・家賃補助 | 生活費負担の軽減は賃金補完として機能。特に若年層・単身者の定着率向上に効果が高い | 中〜高 |
| 5位 | 資格取得支援・スキルアップ研修補助 | 「将来への不安」「成長できない」という離職理由に対応。キャリアへの投資として従業員エンゲージメントが向上 | 中 |
| 6位 | 食事補助・社食・健康食品提供 | 毎日使える福利厚生として利用率が高い。職場に来る理由・コミュニケーション促進にも貢献 | 低〜中 |
| 7位 | 育児・介護支援制度 | 特に女性・中堅社員の定着率に直結。法定以上の育休・時短制度や保育補助で「辞めなくていい環境」を整備 | 中 |
| 8位 | オフィスリラクゼーション(出張型) | 職場でのボディケア・ストレッチで心身疲労を継続的にケア。「職場環境の良さ」として社員が実感しやすく利用率が高い | 低〜中 |
| 9位 | 退職金制度・企業年金 | 長期定着のインセンティブとして機能。「この会社に長く勤めたい」という意識を高める | 中〜高 |
| 10位 | 社内交流・チームビルディング補助 | 部活動補助・社員旅行・懇親会補助などが人間関係の改善に貢献。孤立感やコミュニケーション不足による離職を防ぐ | 低〜中 |
3. 上位施策の解説:なぜ効果が出るのか
3. 上位施策の解説:なぜ効果が出るのか
1〜2位:柔軟な働き方・休暇制度
離職理由の上位に「労働条件(賃金以外)が悪かった」が挙がることを踏まえると、柔軟な働き方の制度は最も直接的な対策になります。フレックスタイムやリモートワークは、特に子育て・介護を抱える社員、通勤負担の大きい社員にとって「辞めない理由」になります。
有給休暇の取得しやすさについても、取得率が低い職場は「実態として使えない福利厚生」として不満につながります。制度を作るだけでなく、「取得が当たり前の職場文化」を作ることが離職防止に直結します。
3位:メンタルヘルス・健康支援施策
近年、メンタルヘルス不調による離職が増加していることは多くの調査が指摘しています。ストレスチェックの実施(従業員50人以上は法定義務)に加え、相談窓口の設置や定期的なリラクゼーション施策の導入は、不調の予防・早期発見に有効です。
精神的な疲弊が限界になってから離職するケースは、事前のサインが見逃されていることが多いため、「職場でケアできる環境がある」という安心感そのものが定着に貢献します。
4〜5位:経済的サポートとキャリア支援
住宅手当・家賃補助は実質的な賃金補完として機能し、特に入社数年目の若手社員の定着率向上に効果が高い施策です。資格取得支援・研修補助は「自分はこの会社で成長できる」という実感を与え、キャリア不安による離職を防ぎます。
6位:食事補助
「毎日使える」という点で利用率が非常に高く、金銭的効果もわかりやすい施策です。社食や置き型健康食品、昼食補助チケットなど形態はさまざまですが、いずれも「職場の居心地のよさ」に直接影響します。日々の小さな満足の積み重ねが、離職防止の下地を作ります。
8位:オフィスリラクゼーション(出張型)
後ほど詳しく解説しますが、定期的なオフィスリラクゼーションの導入は、離職防止に対して複数の経路から効果を発揮します。身体的疲労のケア・メンタルヘルス予防・「職場環境の良さ」の可視化という3つの面から、従業員の定着を支えます。
4. コスト別・目的別の施策選び方
4. コスト別・目的別の施策選び方
「効果がある施策はわかったが、どれから始めれば良いか」という問いに対して、コストと目的の2軸で整理します。
| コスト帯 | おすすめ施策 | 主な対象層・効果 |
| 低コスト(月数千円〜) | 有給休暇取得促進、フレックス制度、オフィスリラクゼーション | 全従業員・即効性が高く社員が実感しやすい |
| 中コスト(月数万円〜) | 食事補助、資格取得支援、EAP相談窓口、健康診断補助 | 全従業員・中長期的な満足度・エンゲージメント向上 |
| 高コスト(月十万円〜) | 住宅手当、育児支援、退職金制度、保育補助 | 特定層(若手・子育て世代)の強力な定着施策 |
予算が限られている場合は、「全従業員が利用でき、毎回実感できる」低コスト施策から優先的に導入することをおすすめします。福利厚生は「制度があること」より「実際に使われること」が重要で、利用率の低い高コスト施策より利用率の高い低コスト施策の方が定着効果は大きくなるケースも多いためです。
5. オフィスリラクゼーションが離職防止に貢献できる理由
5. オフィスリラクゼーションが離職防止に貢献できる理由
ランキング8位に挙げたオフィスリラクゼーション(出張型)について、なぜ離職防止に有効なのかをより詳しく解説します。低コストで導入でき、かつ「全従業員が職場で直接体感できる」点がこの施策の最大の特長です。
「職場が自分を気にかけてくれる」という実感を生む
離職の背景には、「この会社は自分を大切にしてくれていない」という感覚が根底にあるケースが少なくありません。オフィスに専門セラピストが訪問し、プロの施術を受けられる体験は、「会社が自分の健康に投資している」というメッセージとして社員に伝わります。これが従業員エンゲージメントの向上と離職率低下に間接的につながります。
メンタル不調の予防で離職を未然に防ぐ
ストレスが蓄積しやすいデスクワーク環境で、定期的に心身をリフレッシュできる機会を設けることは、メンタルヘルス不調の予防施策として機能します。「施術を受けることで気持ちが切り替えられる」「頭が整理できる」という声は、実際に導入企業でよく聞かれます。
職場の雰囲気・コミュニケーションが改善される
リラクゼーションの時間は、普段関わりの少ない社員同士が会話するきっかけにもなります。職場の人間関係改善は離職理由の上位「職場の人間関係が悪かった」への間接的なアプローチです。定期訪問によって職場に「癒しのある日」ができることが、職場の雰囲気づくりにも貢献します。
採用時のアピールポイントとしても機能する
「定期的にプロのマッサージが受けられる職場」は、求人票・採用ページに記載できるユニークな福利厚生として採用競争力向上にも貢献します。離職率を下げながら採用力も高めるという二重の効果が得られる点は、人事担当者にとって見逃せないメリットです。
Reairの定期訪問型リラクゼーションでは、ボディケア・チェアー型・フットケア・ドライヘッドスパ・ヨガ・ストレッチなどのメニューから、企業規模や訪問頻度に合わせてカスタマイズしてお選びいただけます。
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6. 離職防止のための福利厚生導入、どこから始めるか
6. 離職防止のための福利厚生導入、どこから始めるか
「施策の種類はわかったが、社内で承認を取るのが難しい」「どう優先順位をつけてよいかわからない」という声は多くあります。以下のステップで進めることをおすすめします。
推奨する取り組みの進め方
1. 現状の離職率・退職理由を整理する(退職面談データ・アンケートを活用)
2. 「何が理由で辞めているか」を特定し、それに対応する施策を選ぶ
3. 低コスト・全員が利用できる施策から先行導入し、利用率を高める
4. 導入した施策の利用率・従業員満足度を定期的に測定する
5. 効果が出た施策を継続・拡充し、コスト帯の高い施策を段階的に追加する
特に重要なのは、ステップ2の「理由の特定」です。退職者アンケートや在職者へのサーベイを定期的に実施し、自社固有の離職要因を把握することが、施策の費用対効果を最大化する鍵です。
まとめ
離職率を下げるための福利厚生施策について、重要なポイントを整理します。
✅ 企業が福利厚生を導入する目的の第1位は「離職率の低下」(70.1%)というデータがある
✅ 離職理由の上位は「賃金以外の労働条件」であり、福利厚生で直接対応できる領域
✅ 効果が高い施策は「柔軟な働き方」「有給休暇取得促進」「メンタルヘルス支援」
✅ コストより「利用率の高さ」が離職防止効果を左右する
✅ オフィスリラクゼーションは低コストで全員が体感でき、複数の経路から定着に貢献
離職を止めるのは「施策の数」ではなく、「社員が職場で大切にされていると感じられるか」という積み重ねです。まず一つ、従業員が実感できる施策を導入することが、長期的な定着率改善の第一歩になります。
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※本記事のデータは厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概要」および月刊総務「福利厚生についての調査」を参照しています。最新情報は各機関の公表資料でご確認ください。